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雑多な好きなもの語り
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服飾センスねーのに(大笑)

どれがいいと思いますかと聞かれたらいつも自分の好きなのを売ってました。
なんとかかんとか言うブランドものも取り扱っていたけど、
私が嫌いだったので(わあ)売り上げに貢献しない感じのを勧めてました。
若いお父さんぽいひとがトトロとかドラえもんとか買っていくと
みょうに嬉しい気持ちになったものでした。
トトロネクタイすごい可愛いんだよー!ドットに見えるけど、よく見るとドングリ^^


さてさて追記に、先日からお話ししているネクタイの件。
生徒×先生でネクタイ(エロ無し)。
てゆか生徒→先生。
エロがないのが葛井クオリティ。
かといってほのぼのしているわけでもないので
いろいろ許せる心の広い方はどうぞ。

勢いで書いたものなので、当分の間の限定で上げときます。
恥ずかしくなったら消します(笑)

「逃げないで」

 すがるような瞳を拒否することなどできない。16才の眼差しは揺れながら、それでも意思の力でひたりと俺に照準を合わせる。逃げないで、お願い。繰り返す彼の言葉は弱々しく微かだったけれど、胸の前で手首を掴む力は有無を言わせなかった。

「…逃げないよ」
「ほんとに?」
「ほんとに」

 器用に両手首を片手に握り込んだまま、彼は空いた片手で俺の喉に手をかけた。彼がその気になればこのまま俺を殺すことだってできるんだなあ、と、そんなことをぼんやり思う。背中に触れる壁の硬さが布地越しにもはっきり分かった。客観的に見ると状況は危機的だったけれど、不思議と恐怖は感じなかった。迷子のような顔をして、さかえぐちせんせい、と彼が呟く。呼ばれているのが自分だと気付くまでしばらくかかった。
 ねえ先生、と言いながら、彼は伸ばした指を俺のネクタイの結び目にかけた。

「俺が誰か、分かってる?」
「分かってる。水谷」
「なんで逃げないの、先生」
「逃げないでって、言ったじゃん」
「言えば聞いてくれるの?」
「内容によるけど」
「怒らないの」
「怒ってない」
「なんで、」

 彼は言いかけて止め、唇を噛んだ。一瞬だけ逸らした視線をまた俺に戻して、その目でじっと俺を見つめた。
 
「先生」

 しゅ、と耳の下で音がした。視界の端にネクタイの濃い色が映った。何かを確かめるようにゆっくりと水谷がネクタイを引く。絡めただけの布地はあっさりとほどけて水谷の手にかかった。彼はまじないがかった動きでそれを手繰り、掴んでいた俺の手首にかけた。くるくると巻き付けて余りを結ぶ。

「なんで、抵抗しないの」
「抵抗したほうがよかった?」
「訊いてるのは、俺だよ、先生。なんで抵抗しないの」
「……説明しても、きっと分かってもらえない」
「俺が、ばかだから?」
「違うよ」

 彼は両手を伸ばし、俺の頬に宛てた。指先が震えている。

「ねえ、俺のことちゃんと見てよ」
「見てるよ」
「見てないよ、栄口先生。ねえ、先生はどうしたら先生じゃなくなるの。どうしたら俺のこと見てくれるの」
「水谷、」
「ネクタイ外しても先生は先生だし、捕まえたって先生は俺のこと見てくれない。壊しちゃったらいいのかなあ?いっぱい傷付けたら、せんせい、俺のこと嫌いになるかなあ?そしたら俺のこと覚えててくれるかなあ?ねえ先生、俺どうしたら先生の特別になれるの?」
「俺、水谷のこと忘れないよ」
「嘘だ」
「ほんと」
「うそだよ。先生は俺のことなんかどうでもいいんだよ。だから、抵抗しないんでしょ」 

 言い終えるなり彼は唇を触れ合わせた。そうしておいて、滑らかな動きですぐに離れる。ふたつの身体の間でネクタイが無機質に揺れている。

「やめろって、言ってよ。ダメだって言ってよ。じゃないと俺なにするか分かんないよ」

 迷子の顔をして彼が言う。彼が発した脅しはあまりに幼い。けれど油断すればその必死な姿にも心を揺らされてしまう。俺は空気を吸って、浅く息を吐いた。 

「水谷、俺ね、今年で26なんだ」
「……知ってるよ?」
「おとなになると、守りたいものが増える」
「……それで?」

 それで?
 彼の質問に答えず俺が口を噤むと、水谷はくしゃりと顔を歪めた。

「だから?だから何なの?分かんないよ。ぜんぜん、わかんない。分かるように言ってよ先生。先生なのに、それじゃ全然分かんないよ」

 俯いた唇から言葉があふれる。最初から分からせるつもりなどなかった。彼を守れるならそれでよかった。何かあったとき、より深く傷を負うのは生徒である彼の方だ。思いは返すことも与えることもできない。だったら受け入れてやることくらい、何の不都合があるだろう?
 かたちを成してはならない。かたちのないものは10年もすれば風化する。そんなこともあったと思い返すこともできるだろう。16才の感情は、それがたとえば彼が言うように正しい恋愛感情であったとしても、やはり熱病に似たものなのだ。
 不意に彼が顔を上げ、ネクタイで纏められた手首をきつく掴んだ。噛み付かれるようなキスに身体がこわばる。腰に添えられた手にうっかり口を開けるとそこから彼の舌が差し込まれた。彼の舌は甘い。誘われるまま辿る。追う。絡める。

「せん、せ」

 呟いて離れた水谷はひとつ頭を振った。それからネクタイの結び目に指をかけてするりとほどいた。自由になった手がひやりと冷たい。

「おとなは、ずるい」
「……そうだよ。おとなは、ずるい。だから」
「だけど俺、先生がすきだよ」

 ほどいたネクタイを俺に渡して、彼はかすかな声で、ごめんなさい、と言った。なんと返事をしたらいいか分からなくて、ああとかうんとかそれに近い言葉でごまかした。

「今日は、もう帰れ、な」

 せめて精一杯の威厳を持って言うと、彼は素直にはいと返事をした。静かな音を立ててドアが閉まる。手にかかったネクタイをしばらく眺めて溜息をつくと、自分で思う以上に落ち込んでいる自分に気がついた。何に対して落ち込んでいるのかはわからない。けれど沈んだ心は確かにこの身の中にあった。
 拒絶した方がよかっただろうか、と思う。よかっただろう。当たり前だ。そうすべきだった。そうしなければならなかった。

「教師失格だ」

 今更だと独りごちて、ネクタイを手の中にしまう。それを首にかける気にはなれなかった。職員室に戻るのに必要なものなのに、それをきちんと結ぶ気にはなれない。10も年下の生徒の言動に引きずられてどうすると思わないではないけれど、それでも心は沈んだまま、ネクタイは手の中に収まったままだ。制御できない感情は、まるで高校生だ。

「俺にも、わかんないよ」

 おとなになっても、俺にはわからないことだらけだよ、水谷。
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