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雑多な好きなもの語り
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陽の当たる坂道を転がり落ちるりんごみたいに、加速度を増して僕は君に恋をした。落ちるほどにエネルギーは増してゆく。ごろごろごろ。ごろごろごろ。ぴかぴかと光を跳ね返しながらりんごは転がる。転がり落ちていく身だから自分にブレーキをかけるなんて器用なことはできなかった。どうすればいいかなんて分からなかったし、そうしたいとも思わなかった。身体の奥から生まれる思いは集約されて、それはただひとつ名前のかたちを成した。宇宙にあまねく働く引力に任せて落ちていくことは快哉を叫びたいほど心地よく、その衝動に任せて僕は何度も君の名を呼んだ。ごろごろと転がりながら、ぴかぴかの光を浴びながら、持て余すエネルギーに身体を預けて地球の最深部目指して落ちてゆく。転がるほどにアスファルトがりんごの表面をぼろぼろに傷付けていくけれど、僕はそれを止める術を持たない。引力に逆らう術を持たない。僕は君の名を呼ぶ。受け止めてくれなくていいんだ。傷を負うのは、おれひとりでじゅうぶん。ごろごろと転がるだけのりんごに恋を語る資格などないから、代わりに僕は君の名を呼ぶ。この地上でいちばん特別な名前を、なんでもないもののように、気軽さを装って口にする。僕の呼びかけに君はゆるく笑う。ふにゃりといつもどおりの微笑みを投げかけて僕の名を呼ぶ。それが意味するものの絶望的な差異に、けれど少しも勢いを削がれずりんごは坂を転がってしまう。ぴかぴかの光が当たる坂道を転がり落ちてしまう。僕はそれを止める術を持たない。

たまにこういうのを書きたくなります。ストーリーや景色よりも雰囲気重視みたいなやつ(笑)
書くのは何だって楽しいけど、読んでもらってどうなんだろう。
少しでも楽しんでいただけるといいなあ。
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